2008年5月3日

小さな物語「目標はラス・ベガス」(1)

 世間がニューヨークのブロードウェイで、2005年へのカウントダウンを叫んでいたころ、小新井凱子(こあらいよしこ)さんは、地元の稲城神社で祈っていた。家族が元気に良い年を過ごせますように、そして、いつか彼女自身がラスベガスに行けますように。日本で視聴率81%を記録したこともある大晦日のテレビ番組に出演した後で、彼女は初詣にやってきたのだった。

 氷川きよしが2004年の彼のヒット曲を歌うバックで、17人の「オバジェンヌ」仲間とともに彼女が踊っていたのは、まさに2004年の大晦日のことだった。

 「パリジェンヌ」になぞらえて名づけられた「オバジェンヌ」は、プロの女性ダンシング・チームで、チームの平均年齢は、55歳である。最高齢は、77歳。そう、日本語の「おばさん」は、もともとは主婦のような中高年の女性を意味しているが、今では、鈍感で自己中心的な女性を指すことが多い。したがって、「オバジェンヌ」は、「パリジェンヌ」の香りを持った「おばさん」ということになる。

 「11年前に事故で夫を亡くし、夫のことを泣かずに語れるようになるのに、4年かかりました。もし夫が今も生きていたら、私がこのチームに入ることはなかったでしょう。」 凱子さんの友達で、55歳のオバジェンヌは笑顔で語る。 「私は、本当にこのチームが楽しくて、満足しています。オバジェンヌのおかげで生活が大きく変わりました。自分の成人式と結婚式にしか、化粧をしたことがなかったのですが、今では、髪の色も変えています。」


「オバジェンヌ」のダンサーの皆さん

 1959年にラスベガスでデビューしたプロダンサーのホシノタカシさんの指導の下、「オバジェンヌ」は毎週最低2回の練習を重ねている。


「オバジェンヌ」とホシノ先生(右)

 凱子さんは言う。「子供のころから、ずっとダンスが大好きでした。バレーの先生になるのが夢だったんです。オバジェンヌは、私がいろいろ経験して学んできたことを、最大限生かせる良い機会だと強く思いました」 63歳の主婦でもある彼女は、チームに参加した日のことをこう振り返る。そして、「次の夢は、オバジェンヌのショーでラスベガスで踊ることです」と言う。

 小さな物語・取材こぼれ話 -1-

 米国の西海岸にあるハッピー・エルダー社のパートナー会社“スマート・シルバーズ・アライアンス”から、「日本ではエルダーの間で、脳の健康によいと言ってダンスが盛んと聞いたが、どういう状況なのだろうか?」とメールが届いた。アメリカでは40歳以降の人達をブーマーと呼んでいるが、そのブーマー市場の動向や、健康やフィットネスなどにかかわるイベントの企画、さらに世界中から最新製品情報を集め紹介している会社からのお尋ねである。日本映画「Shall We Dance?」はアメリカでも上映され話題になったという。

 バレエ、それも主にクラシック・バレエを職業としている人達(ダンサー、振付家、バレエ教師など)が会員という社団法人日本バレエ協会のサイト(http://www.j-b-a.or.jp/)を覗くと、約2、700名会員が登録され、全国にあるバレエ教室が検索できる。「よくある質問」には、“子供にバレエを習わせたいのですが、・・・”と質問が並ぶ。

 最初にコンタクトできたのは、その幼年や児童にバレエを教える教室に、「成人」の名前で通い始めて10年という千葉県の女性。二人の子供は学校を卒業し自立、ご主人は大阪に単身赴任、両親の介護に毎月故郷を往復するという。子供の頃から憧れていたクラシック・バレエをやりたいと新しいトウシューズを買い、週2回の練習に通い、最近は教室が主宰する公演会で「白鳥の湖」を踊ったという。

 社交ダンス、ジャズダンス、フラメンコといくつかたずね、最後に伝を頼りにたどり着いたのが、「オバジェンヌ」。数人のメンバを紹介してもらったのは、オバジェンヌのメンバの一人でもある団塊の世代の女性がボーカルを唱う横浜のジャズ演奏のパブ。公演の写真を片手に、“若さと楽しみを求めているの”と明快の弁。年1回の東京での定期公演の他にもいくつか出演の予定があるからと名刺に書き込まれ、「見にきてね」と念を押されているうちに「脳」の質問は飛んで行ってしまった。



ハッピー・スワンの活動
2008年8月6日 小さな物語「ことぶきバレー」     
2008年6月28日 第2回交流会開催
2008年6月10日 ハッピー・スワン購読誌第2巻発行
2008年6月9日 小さな物語「目標はラス・ベガス2」
2008年5月24日 第1回交流会開催
2008年5月10日 ハッピー・スワン購読誌第1巻発行
2008年5月3日 小さな物語「目標はラス・ベガス1」




会社案内プレスリリースプライバシーポリシーご利用条件サイトマップお問い合わせ