2008年6月9日

小さな物語「目標はラス・ベガス」(2)

 奥山久代さんは、2人の娘と1人の息子を持つ典型的な日本の主婦で、子供たちと義母の世話に追われる忙しい生活を30年間続けてきた。しかし、彼女は60歳になったある日、家には子供たちもなく、ただ夫と2人、黙って居間に座っていることに、ふと気がつ いた。久代さんは夫とよく話し合い、健康維持のために、それぞれが好きなことをして残りの人生を過ごすということに落ち着いた。

 そうした事情から、彼女は自分が70歳まで健康でいられるようにと、社交ダンスを習い始めた。

 ある日、彼女が美容院で雑誌を読んでいると、「オバジェンヌ」の記事を目にした。彼女と話をしていた美容師は、久代さんがダンスに興味があるのを知って、「オバジェンヌ」参加申し込みの葉書を出すように、彼女を励ましたのだ。

 「オバジェンヌの6年間はあっという間に過ぎて、本当に一瞬でした」 彼女は自分がオバジェンヌだった日々を振り返る。「先生が厳しく、間違えなく覚えることが絶対です。」 「そして皆が同じ目標に向かって、努力していました。それはすごく励みになったし、達成 感はこの上ない喜びでした」と。

  しかし、彼女の挑戦は、次のステップに移っている。それは、技術にさらに磨きをかけ、社交ダンスですばらしい踊りを披露すること。カイロプラクティックでのパートと終えると、 週2、3回、彼女はレッスンに駆けつける。

  数年前、奥山久代さんは、90歳の女性のダンスを見た。その女性は骨粗しょう症に苦しみながらも、70歳で社交ダンスを始めたという。ヒサヨさんはあらためて誓った。 「彼女のようになる。私もがんばる」と。

 「難しいことにチャレンジするのが好き」と単にステップを踏むことではなく、“女性はフォローの役“それをいかに美しく見せるかという難しいことを習っていると言う。 健康が許されるなら、今の目標は80歳まではやりたい。そのためには自分の腕を上げることに努めるの」と。

 エルダーの人たちが、人生を楽しんでいるところを知ろうとすると、そこにはロマンティックな何かがある。

 小さな物語・取材こぼれ話 -2-

 約束のJR飯田橋駅には少し早く着いた。改札を出ると、白いブラウスで毅然として立って、人待ちをしている女性が眼にとまったが、イヤこの人ではない、紹介されるのは70才過ぎの女性と聞いている。どこかインタビューに適当なお店がないかと近くを探してもどると、このインタビューをアレンジしてくれた小新井さんが、あの白いブラウスの女性とおしゃべりをしている。えっ!

 3人のお子さんは既に40歳台になるという奥山さん。「子育てとお姑のための人生を歩んできた。そして60歳になったら子供は独立、元旦の朝ダンナと二人きりになっていた。」そのとき電線会社の技術者だったご主人とは「60歳からそれぞれ自分のためになることをしていこう。二人同じことをしたくない。お互いに外に出て元気なのが良い。」と話し合い、自分はバレーの道を見つけ出した。「60才を過ぎて今が一番充実している」と言う。

 その彼女が「男の人達はどうしているか?大丈夫か?」と真顔で聞く。「皆が定年になったら大変よ。定年になったらやれ海外旅行だ、なんだなんて言うけれど、そういうことは長く続かない。2年も経てば終わり。」「会社や組織をほっぽりだされて、どうしようもない」男の姿をたくさん見て、心配だと言う。

 これからは「子供が中学になったら、父親が学校行事に出なければだめ。」と力説し、エルダーライフは、30歳で始まっているのではと思わせた。



ハッピー・スワンの活動
2008年8月6日 小さな物語「ことぶきバレー」     
2008年6月28日 第2回交流会開催
2008年6月10日 ハッピー・スワン購読誌第2巻発行
2008年6月9日 小さな物語「目標はラス・ベガス2」
2008年5月24日 第1回交流会開催
2008年5月10日 ハッピー・スワン購読誌第1巻発行
2008年5月3日 小さな物語「目標はラス・ベガス1」




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