2010年6月6日 |
「エイジング・トゥデイ」2010年1・2月号には、ロバート・バトラー博士のインタビューが載っています。バトラー博士は、アメリカの精神科医で、1976年にピューリッツァー賞を受賞した『老後はなぜ悲劇なのか?―アメリカの老人たちの生活』の著者であり、「現代老齢学の父」として知られています。
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| ロバート・バトラー博士へのインタビュー |
インタビュアー : 世界の人口の30%以上が65歳以上になることを考えると、どのように高齢者を支えていけばよいのでしょう。社会保障を手厚くするとしたら、税負担が増えるのでしょうか。
バトラー博士 : 高齢者が増えると経済的に苦しくなるという考えが、データから実証されたわけではありません。長生き社会になれば、国の富が増えると考える経済学者もいます。
アメリカでは、1962年以降、富は常に高齢世代から若年世代へと一方向に流れています。日本では、高齢者を対象とした旅行、健康、介護などは非常に大きな収入源となっています。誰かにお金がかかるということは、それは誰かの収入になるということです。
元気な高齢者は、もっと長く働けばよいのです。長く働けば、より良い生活を続けられるというデータがあります。経済に与える影響もプラスです。元気な子どもは元気な大人になり、良い教育を受け、良い仕事を得、より豊かになる。つまり、長生きする人が増えれば、社会もより豊かになるのです。
インタビュアー : 高齢者の社会的役割とは何でしょう。また、テクノロジーがめざましく進んでいることを考えると、高齢者にはどんな仕事があるでしょうか。
バトラー博士 : 仕事をすれば、社会の役に立ちますし、社会の中で自分の居場所ができます。何をするかは、その人によるでしょう。自分の経験を補うような仕事を選ぶ人が多いです。例えば、消防士や警官だった人は、看護学校に行ったりします。
インタビュアー : 健康保険制度の改革が行われていますが、65歳以下をカバーするための法改正を歓迎しない高齢者も多いようです。
バトラー博士 : それは、とても自分勝手な人たちです。自分の子どもや孫の世代にも保障が必要だということを理解していないのです。あと、正しい情報が不足しているということもあります。
インタビュアー : 例えば、老々介護のように、寿命が延びれば介護の形も変わるでしょうか。
バトラー博士 : 介護は大きな負担です。介護から喜びを得ることもありますが、その負担は女性に偏りがちです。アメリカでは、長期介護に関する公的な保障がないことが問題です。他の先進国では、家族の負担を減らすために、社会でサポートしています。
インタビュアー : 今後20年以内に、80歳以上の半数近くがかかるというアルツハイマー病を治す方法が発見されると思いますか。
バトラー博士 : 私は、あまり期待できないと思います。研究に十分なお金をかけていませんし、この病気をよく理解できるような新しいアイディアやモデルがありません。
インタビュアー : 配偶者、家族、友人の死に直面しても、長生きは価値あるものだと思いますか。比較的健康に過ごせるとしても、長生きは苦痛ではないのでしょうか。
バトラー博士 : 人間は適応力のある生物です。愛する人を亡くすのは辛いことですが、また新しい関係を作り出します。女性は男性よりも長生きすることが多いので、愛する人の死を乗り越えなければなりません。男性が女性と同じくらい長生きできるようになれば、男女は年を取っても、新しい関係を作り出せるようになるかもしれません。
インタビュアー : 長生きするということは、痛みや不自由を伴った期間が長く続くということではないでしょうか。博士は以前、予防薬や生活習慣の改善によって、高齢者の健康の衰えが少なくなったとおっしゃっていました。将来的には、衰えや痛みを感じることなく、コロリと死ぬことができるようになるのでしょうか。
バトラー博士 : 理論上は、「イエス」です。長く患うことなく、満足した生活を続けられるようになると思います。
現実的には、肥満が大きな問題です。若い頃の太りすぎは、年を取ってから糖尿病になります。この問題を国として何とかしないと、歴史上初めて、親よりも早死にする年代が出てしまうでしょう。
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