2011年11月4日 |
医学は、日々めざましく発展しています。「AARPマガジン」2011年9・10月号では、最新の治療法を、既に行われている治療法、数年内には実現しそうな治療法、そして10年後には実用化が期待される治療法の3つに分けて、取り上げています。
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| 最新の治療法 |
1.既に行われている治療法
- 人工網膜
眼鏡の中に組み込まれた小さなビデオカメラで画像を撮影。画像は信号に変換され、損傷した網膜に埋め込まれたチップに送られる。チップは脳に電気パルスを送り、脳で映像となる。初期の人工網膜では、おおよその物体の位置や動く方向しかわからなかったが、最近では読みやすく書かれた文字も読めるようになっている。今までに約30人がこの治療を受けている。網膜色素変症のような遺伝性疾患を持つ患者には朗報である。

- 血液凝固阻止剤:プラダキサ
プラダキサは、血液を凝固させる作用を持つ酵素であるトロンビンを阻止し、心房細動の患者の心臓発作のリスクを軽減する。心房細動は高齢者の多くに心拍リズムの異常を起こす原因となるものである。現在多く使われている血液凝固阻止剤ワルファリンよりも、発作のリスクを35%以上軽減し、食事や他の薬の影響を受けにくい特長を持つ。
- 前立腺がんワクチン:プロベンジ
患者の白血球を取り出し、体外で培養して、前立腺がんの抗原として体内に戻す。免疫システムの利用は、他のがんにとっても画期的な治療法となる。プロベンジは、前立腺がんそのものを治療するわけではないが、3年間の死亡率は24%減少している。
- うつを改善する電磁石
経頭蓋磁気刺激(TMS)と呼ばれるこの治療法は、小さな電磁石を額に当て、弱い電流を流し、うつに関係する脳の部分に刺激を与える方法である。この治療法がどうして効果があるのかは専門家にもわかっていないが、うつ状態を緩和するのに、偽薬の約3倍の効果がある。副作用がほとんどないため、高齢者の治療に使うことができる。
2.数年内には実現しそうな治療法
- 移植のための心臓輸送法
現在、移植用の心臓は氷を入れたクーラーボックスで運ばれている。しかし、最新の研究では、ドナーの血液に浸した温かい状態で、人工心肺装置を使って心臓の鼓動を続けたまま運んだほうがいいことがわかっている。この輸送法が実用化されれば、輸送可能時間が現在の倍に伸び、それだけ遠距離の移植が可能になるという。
- 心臓や動脈を救う幹細胞培養
幹細胞を骨髄から取り出し、実験室で培養し、患者本人の血流や心筋に戻す治療法である。抹消動脈疾患は抹消血管の病気の中でもっとも多く、抹消動脈に動脈硬化が起き、手足に血行不良、しびれ、痛み、腫瘍などが出る疾患である。アメリカに800万人と言われる抹消動脈疾患の患者にとっては、大きな救いとなるだろう。
- 心臓疾患血液テスト
心臓疾患に関係する血液たんぱく質を調べれば、血管造影剤を使う必要はぐっと減るかもしれない。将来的に心臓疾患を発症するかどうかは、この血液テストを行えば85%の正確さでわかり、遺伝や胸の痛みなどと合わせて診断することで、精度はさらに高まる。
- 乳がん新薬
この薬はPARP阻止剤で、化学療法後にがん細胞が自己修復するのを助ける酵素を標的としている。乳がんの約15%を占めるトリプル・ネガティブ乳がんは難治性だが、PARP阻止剤はこのタイプのがんに効果的に働き、化学療法だけを受けた患者の効果率が32%だったのに対し、化学療法とPARP阻止剤イニパリブを併用した患者の効果率は52%だった。また、別のPARP阻止剤オラパリブを使用した患者19人のうち12人のがんが小さくなったり、進行が止まったという。
3.10年後には実用化が期待される治療法
- 血糖値を監視するタトゥー
注射針を刺さなくても血糖値がわかるタトゥーが開発された。このタトゥーは数ミリのサイズで、血糖値が高くなると黄色に光り、血糖値が低くなると暗くなる小さなポリマービーズからできている。通常のタトゥーよりも浅く入れるので一週間に一度塗らないといけないが、痛みも少なく、タトゥーも徐々に薄くなる。専用の小型機器で色の変化を読み取れば、インスリン投与の適切なタイミングがわかる。2600万人のアメリカの糖尿病患者にとってはうれしいこととなるだろう。
- 自己臓器培養
必要な臓器を自分の細胞から培養し移植するという、まさにSF映画のような治療法である。まず、生分解する材料で必要な臓器の型を作り、患者自身の細胞をその型に植えつける。膀胱が必要なら膀胱の細胞を、肝臓が必要なら肝臓の細胞を使う。型が分解するまで培養し、できた臓器を患者に移植する。アメリカには臓器移植を待つ患者が12万人存在するが、この人たちの人生を変える技術になるかもしれない。
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