2009年4月12日 |
ASA(全米加齢協会)発行のAGING TODAY(2008年7-8月号)に、転倒予防についての問題が大きく取り上げられています。これは、その記事の抜粋です。
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| アメリカにおける転倒予防の取り組み |
ガンやアルツハイマーの診断を下されたようなショックはないが、毎日全米で、中年になった子供たちが「お母さんが転んだ」という言葉を発している。
疾病対策センター(Center for Disease Control and Prevention:CDC)によると、転倒したエルダーの20~30%が、あざや歯を折るといった軽傷から、股関節骨折や頭蓋骨損傷の重傷を負っている。CDCによると、転倒はアメリカの65歳以上のエルダーの怪我や死亡原因で最も多く、毎年3分の1近くのエルダーが転倒しているという。2005年には、65歳以上の15,800人が転倒による怪我がもとで死亡している。また、1,800万人が、致命的ではない怪我で救急処置を受けている。
CDCによると、2000年のエルダーの転倒に関するコストは、全部で190億ドル以上だという。(内訳は、入院120億ドル、救急40億ドル、外来30億ドル)
これらの費用のほとんどをメディケア(高齢者向け医療保険制度)から支払っている。
2020年には、エルダーの転倒にかかる費用は、438億ドルになるだろうと予測している。
高齢者の転倒予防は単純なことと思われがちで、この問題に取り組んでいる専門家は少ない。他の健康管理や長期ケアと同様に、転倒予防は、家庭、公共機関、役所、医学や建築等の研究機関などに広く関係する。今まであまり注目されてこなかった転倒予防について、さまざまな分野の専門家が力を合わせようとし始めている。
2007年12月、カリフォルニア州ロングビーチで、「カリフォルニア転倒予防サミット」が開催された。また、2008年4月、アメリカ議会は「高齢者安全法」(Safety of Seniors Act)を制定し、転倒について高齢者の保護と国民への周知を図ろうとしている。しかし、十分な予算が割り当てられていないので、効果はそれほど期待できないのが実情である。
「各分野の連携もまだまだである」と、エクセレンス転倒予防センター(Fall Prevention Center of Excellence:FPCE)所長であるジョン・パイヌース氏は言う。
FPCEは、南カリフォルニア大学アンドラス老年学研究センターを拠点に4つの組織が集まり、2005年に設立された。環境衛生の重要課題として転倒予防を掲げ、効果的な転倒予防プログラムの作成、包括的な転倒予防インフラの構築を目指している。前述の「カリフォルニア転倒予防サミット」を企画したのも、FPCEである。
また、FPCEはウェブサイトを通じて、サービス提供者、研究者、教育者、一般向けに多くの情報を発信している。
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2009年3月、ラスベガスで開催された
ASA&NCOA年次総会に参加していたFPCEのブース
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転倒の予防には、医師による健康診断、理学療法士による運動療法、作業療法士による家庭内に潜む危険分析が必要であり、さらには、投薬、視力、歩き方、転倒経験の有無などの危険因子を判断する内科医も必要である。これらを勘案し、医師が個人にあった運動の種類とレベルを決定するのである。
「転倒の大きな原因は、個人がもともと持っている要因です」とFPCEのローレンス・ルービンシュタイン氏は言う。
「最大の問題は、筋力の弱さ、歩き方、バランスです。こうした問題を持つ人は、問題がない人の3、4倍転倒しやすくなります。また、日常の行動における機能障害、うつ、認識機能障害、80歳以上、向精神薬の服用があると、転倒しやすさは2倍近くになります。エルダーの大部分が、定期的な運動をしていません。65歳以上の35%が、何の余暇活動にも参加していません。転倒予防プランの体操は、持久力を高め、歩行時の姿勢を保つための筋力を強化します。足首、膝、腰、ウェストに効きます」
「転倒予防は、住宅改修や手すりの設置という問題ではなく、気持ちをすっかり変えることです」と言うのは、トーレス・ギル氏である。
かつて高齢者局補佐官であったギル氏は、2004年に自ら転倒を経験し、また実母、義母の介護経験がある。「エルダーにとって、転倒の意味を受け入れるのは難しいことです。ベッドや家から出るのが怖くなります。再び転ぶのが怖いので、外出して生活を楽しむことが怖くなります」と言う。
「エルダーは、視力や聴力も含め、自分の体力の限界を知り、身の回りの世界が危険なところだと認めなければなりません。プライドや自立心は控えめにして、自分が弱いことを知り、周りの人に助けを求めることも大切です」と話すギル氏は、バランスを保つために自分の体重増加に注意し、生活に太極拳や気功を取り入れている。
「転倒予防を社会全体の問題として皆で知恵を出し合わなければ、着実に年齢を重ねていく7,500万人以上のベビー・ブーマーの避けれられない転倒について、私たちは何の準備もしていないことになります」とギル氏はしめくくっている。
疾病管理予防センター(CDC)の転倒予防のページはこちら
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