2009年5月31日 |
ASA(全米加齢協会)発行のAGING TODAY(2009年3-4月号)は、シルバーライドというサンフランシスコの会社を取り上げました。
そのシルバーライドは、2009年3月ラスベガスで行われたASA&NCOAの年次総会で、「ASAビジネス&エイジング・アワード」を受賞しました。
以下は、AGING TODAYからの抜粋です。
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| シルバーライド |
「私が買った荷物を2階まで運ぶのは、シルバーライドの運転手であるマークがする仕事ではないの。でも彼は運んでくれるから、とても感謝しているわ」と話すのは、ジョンソンさん。現在85歳の彼女は軽いアルツハイマーで、3年前に自分で車を運転することは止めたという。「シルバーライドの車に乗っている間は、本当におしゃべりが楽しくて、マークは私の家族のようよ」
シルバーライドは、2006年に設立されたサンフランシスコの会社で、高齢者の送迎、付き添い、ドライブ・プランの作成などを行っている。ジョンソンさんとマークの関係だけが特別なわけではない。他の利用者とドライバーの関係も同様で、さらに、複雑な送迎プランの管理能力が、シルバーライドと他の送迎サービスを区別する特長である。シルバーライドが力を入れているのは、利用者のニーズに応え、心地よく、信頼でき、品位のある、ハイ・クオリティな送迎である。
「一番いいのは、シルバーライドを利用すると、自分の好きなようにできることね。本当に柔軟に対応してくれて、自分で運転しているみたいなの。マークは、私を高齢者学習センターまで迎えに来てくれて、それから一緒にお買い物に行って、最後に孫を学校まで迎えに行くのよ」とジョンソンさんは言う。
シルバーライドを経営するスーザン・サールとジェフ・マーツは、カリフォルニア大学バークレー校経営大学院で出会い、卒業後はそれぞれ別の仕事をしていたが、エルダーの役に立ちたいという長年の思いを実現させることにした。1年間にわたる調査の結果、高齢者が運転を止めた後も、高齢者が威厳と自立を維持できるようなサービスを提供することが大切だと考え、2006年に会社を設立した。最近はインターネットを使ったビジネスが流行で、高額な車両を準備し、利用者とじかに顔を合わせるビジネスは、難しいかと思われた。しかし、1年半を経て、シルバーライドは黒字となり、今では顧客350人、従業員は18人、新たに2台の車の購入を予定している。
高齢者向けの交通機関は他にもあり、路線バスのように多くの高齢者を一度に乗せられる手段も大切だが、シルバーライドは、利用者のニーズを理解し、その人に合わせたサービスをしようとしている。例えば、単に医療機関への往復だけに使いたい人もいれば、毎週何時間も付き添いサービスを利用して外出を楽しみたい人もいる。利用者たちは、サービスの品質、柔軟性、教育されたドライバー、付き添いサービスやドライブ・プランを作成するサービスに満足している。高齢者は外に出かけることで、社会とのつながりを持ち続けられるという。
シルバーライドにとって大切なものは2つある。1つ目は、どのようなドライバーを採用し、いかに教育するかという点である。シルバーライドのドライバーには、発明家、牧師、映画製作者、歌手、大学院生などがいる。ドライバーと利用者の間に豊かな関係を築くためにわざといろいろな分野から採用しているのだ。採用時には、生まれ育った環境や経歴、結核の検査まで厳しくチェックし、送迎補助の仕方や高齢者の心理などを教育し、心肺蘇生や応急手当の資格を取得させる。その結果、何よりドライバーが仕事を楽しんでいるという。
もう1つ大切なものは、ドライバー、車両、利用者のドライブルートを管理するシステムである。インターネット上で、顧客の利用状況、ルートなどを管理し、家族や介護人などがアクセスすることもできる。
シルバーライドは、利用者に喜ばれているだけでなく、その家族にもよい影響を与えている。自分の仕事があって、親の面倒を十分に見られない子どもたちは、そのことを後ろめたく感じていることが多い。シルバーライドは、この不安定な気持ちを和らげるのに役立っているという。
また、ビジネスの成功に合わせて、社会的サービスも始めている。それが2008年に開始された「シルバーライド・イベント・シリーズ」、利用者の外出を助け、他のメンバーと楽しむ時間を作るという企画である。利用者たちは、サンフランシスコの芸術・文化施設や植物園を訪れ、また街の景色や夜景などを楽しんでいる。
シルバーライドには、毎週、利用者からの手紙や葉書が届くという。そこには「シルバーライドのない生活なんて考えられません。皆さんのことは家族のように大好きです」と書かれている。
シルバーライドのウェブサイトはこちら
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日本でも、高齢者ドライバーが関わる事故の増加に伴い、運転免許を返すように促す動きが出ています。しかし、運転免許を返還した後の高齢者の移動手段が新たな問題となることは必至です。路線バスにただで乗れる「高齢者向けパス」を配っても、高齢者にとって満足のいく移動手段が確保されたとは言えないでしょう。
シルバーライドの成功は、高齢化の進む他の国々においても、何かのヒントになるかもしれません。 |