2009年7月29日 |
昨秋に始まった経済不況は、やや回復傾向にあるとは言え、人々の生活に大きな影響を与えています。AARPブリティン(2009年5月号)では、不況が与える影響と、それでも元気な人たちが報告されています。
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| 経済不況が与える影響 |
長引く不況は日々の生活に様々な影響を与えていますが、ここでは3つの影響を取り上げます。最初は、経済不安がストレスとなって、健康を害している人が多いという問題です。
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オハイオ州に住むカレン・ガーベラインさん(56歳)はこの一年間失業中で、夜明け前のまだ暗い窓の外を見ながら、一人でリビングの椅子に座り、あれこれと考えてしまいます。マンションのローンのこと、徐々に減っていく老後の貯えのこと、次の仕事が見つかるかという不安。考え出すと、胸がドキドキします。多くのアメリカ人と同様に、不景気の影響で将来の展望を描けないことが、カレンさんにとっても大きなストレスとなり、彼女はついに病気になってしまいました。睡眠障害、高血圧、うつ、さらに拒食と過食を繰り返す摂食障害です。
適度なストレスは、生産性と創造性を高める効果がありますが、過度のストレスは精神的、肉体的に健康を蝕みます。他にも、過度の喫煙や飲酒をするようになったり、風邪やインフルエンザにかかりやすくなったり、記憶障害を起こすこともあります。ストレス状態が何年も続くと、心臓疾患、動脈硬化、自己免疫疾患、糖尿病、腫瘍の原因にもなり、また、老化を早めます。
「ストレスが直接、病気を引き起こすのではなく、ストレスの影響で、病気にかかりやすい体になるのです。慢性疾患をかかえた人は、なおさらです」とカーネギー・メロン大学のシェルドン・コーエン博士は言います。「今日の経済不況で、私たちの生活はますます予測不能になり、自分でどうにかすることは難しいように思えます。すると、自分で何度も何度も考えてしまうのです。これからどうなるだろう、この状態がいつまで続くのだろう、と。失業や不完全雇用と言った大きなストレスをかかえた人は、そうでない人の5倍、風邪を引きやすくなります」
中でももっともストレスの影響を受けやすいのは、カレンさんのように、長く続けてきた仕事を失い、次の仕事を見つけることが難しい中高年です。「50、60歳になって失業するのは、健康によくありません」というのは、エール大学の科学者ウィリアム・ガロ氏です。ガロ氏の調査によると、失業者がうつや心臓発作を起こす割合は、失業していない人の倍になります。しかし、仕事が見つかると、その割合は大きく減少するそうです。
また、ミシガン大学のサラ・バーガード助教授は、実際に失業した人よりも、失業するかもしれないという不安をかかえている人の方が、健康状態がよくないという調査結果を発表しています。「不確実な状態で生活することが、著しく健康を損ねます」とバーガード氏は言います。
ストレスに対処するには、まず、体が発するシグナルに気づくことが大切です。心臓の鼓動が速くなること、食欲減退、歯ぎしり、肩こりなどがシグナルです。なるべく早く気づくようにしましょう。 また、友達や家族・親戚と会って話をすることが大切です。孤独は、それ自体が大きなストレスになります。他にも、定期的な運動、バランスの取れた食事、趣味などもとても効果的です。
カレンさんは「これからもっと運動をして、友達にも会うようにしたいと思います。高齢者グループのボランティアにも、楽しく参加しています。希望をなくしたわけではありません」と話しています。
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一方で、不況の中にあっても、元気な職種もあります。
- 美容学校 ― 安い値段で、カットやシャンプーをしてくれる。
- 車修理 ― 新車を買わずに、修理して乗ろうという人が増えた。
- 靴修理 ― ブランド物の靴を直してもらいに持ってくる人も多い。
- 中古品販売 ― ブランドのバッグを買う人で人気。
- 質屋 ― 医者や弁護士、会計士、ファンドマネジャーなどもやって来るのが最近の特徴。社員の給料を工面するために訪れる人もいる。
- マッサージ店・ヨガ教室 ― ストレスに悩む人が増えたため。
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最後に、不況の影響で、3世代で住む家族が全米で増えているそうです(AARPの調べによると、この10年間で25%増加)。これは、ローンが払えなくなったり、離婚で生活が苦しくなったり、あるいは体が弱くなった親の面倒をみたりすることが原因のようです。
ミネソタ州のハンク・コリンズさん(58歳)と妻のシャーリーさん(54歳)は、200km離れた娘の家に移ることにしました。娘が失業し、婿の建設関係の仕事が減ったことがきっかけです。若夫婦には3歳の子どもがいます。ハンクさんは病院で働き、孫の保育園代などを払い、若夫婦の家計を助けています。シャーリーさんは言います。「自分で自由に使えるお金はありません。将来のことも考えられません。夫は70歳になったら仕事を辞めたいと言っていましたが、今はそれもわかりません」
もちろん、3世代が同居するには、食べ物の好みを始めとして、乗り越えなくてはならない問題もありますが、家族の結びつきを感じられたり、互いに面倒を見合ったりと良い面もあります。「子育ては大仕事でしたが、孫は単純にかわいいだけです。私は、孫がいるから、ここに住んでいるのです」とシャーリーさんは話します。 |