2009年7月9日

ブーマー・ベンチャー・サミット2009

 第6回ブーマー・ベンチャー・サミットは、2009年6月16日、17日の両日、米国西海岸シリコンバレーのサンタ・クララ市で開催された。


青空と花が咲き誇るサンタ・クララ大学。


 サミットの初日には、ブート・キャンプ(米海軍や沿岸警備隊の新入隊員を対象にした訓練から転じて、新しいことを始めるときの訓練)のプログラムが組まれ、ベンチャービジネスへの指南が行なわれた。

 まずベンチャー事業計画を提出して最終候補に選ばれた人達の、いかに要領を得た簡潔な会社説明を限られた時間で行なうかという“エレベーター・ピッチ”のリハーサル。その語源は、エレベーターの中で偶然顧客に出会ったとき、エレベーターを降りるまでのわずかな時間に自分の会社(の商品)や自分自身を上手に説明することに由来するという。カリフォルニアの銀行の投資部門のマネジャーが、名刺の出し方から、いかにキラー・ピッチ(売りの殺し文句)を作り出すかなどを、候補者一人一人に指導する。



「エレベーターに乗る」というスライドを背中に、
いかに簡潔にかつ力強く自社を説明するかの予行練習をする。


 そして二人のベテランベンチャー・キャピタリストが、ベンチャービジネスの厳しい現実を語る。シリコンバレーの著名なベンチャー・キャピタリストのビル・ジョーズ氏は、「7年間に届いた投資を求める事業計画が9万7千件、そのうち最初の選考を経たのが1万7千件で、1,200件が眼にとまり面談、結局50件にのみ投資をした」という。


 「トップ10の過ち」というビル・ジョーズ(Bill Joos)氏の講演。 
  1. 事業計画を繕いすぎる
  2. 事業の立ち位置が貧弱
  3. きちんとフォーカスしていない
  4. トップダウンで市場を見るだけでは不十分
  5. 事業を進めるに必要な“操縦席の計器”がない
  6. ビジネスモデルが不明確
  7. 競合調査が不十分
  8. チーム内での情報交換が弱い
  9. 市場への計画が不十分
  10. 基本的なことを大事にせず混乱をおこす



 さらにもう一人のベンチャー・キャピタリス、トライアン・マクドナー氏は、「そうやって投資を受けても、10年前には平均4.5年で株式上場(IPO)ができたが、2008年には上場には平均9.6年かかるようになった、金融危機の影響もあって、シリコンバレーでは、ベンチャー企業からの追加投資依頼に対して、75%がノーの返事であった」という。今日の現実は、スタンド・アロン・ビジネス(ベンチャー資金に頼らず自力で事業をすすめること)だと強調する。


 翌6月17日のサミットは、基調講演と最終候補に残った事業計画の発表と審査の一日。講演では、いくつかの市場ニーズの分析、人生80年代の生き方の提唱、そしてベンチャー・キャピタリストのパネル講演と続く。



会員が、4千万人に達するAARPの会員のニーズ。
健康、財産・資金に関するファイナンス、生き方・生活を楽しむこと、
そして社会とのつながりに分けられると言う。



65才以上の人たちが使いたいと思うもの。
ドアや窓のアラーム装置、
個人の緊急応答システム、
活動状況を知るモニター装置、
(薬を飲むことを知らせたりする)電子薬箱、
転倒を知らせるセンサー、
インターネットを利用したモニターサービスと並ぶ。


 1986年にエイジ・ウェーブ(Age Wave)という会社を設立し、米国の大手企業のブーマー世代や熟年の世代に向けての製品やサービスを開発する部門に向けての指導やコンサルタントを始め、米国でのテレビ番組“ブーマーの世紀”などで著名なケン・ダイクワード氏は、平均寿命が80歳を越えるようになったので、新しい人生計画を考える時だと強調する。



今までの人生計画。20歳前までの教育、60歳近くまでの仕事、
そのあと10年ほどレジャー、そしてボーナスの長寿期間。



新しい人生計画。仕事、レジャー、教育、
さらにボーナスの長寿期間を、循環させて生きる。



ベンチャー・キャピタリストや講演者がホストになり、ランチテーブルを囲む。


 最終選考に先立って、「ベンチャー・キャピタルからみた将来の見通し」と題してインテル、マイクロソフト、クアルコムなどアメリカのIT業界の代表企業からのベンチャー・キャピタリストのパネル講演が行われる。クラウドコンピューティングの時代のライフサイエンスや、医療情報のセキュリティー、さらには社会との還元をもたらすエコ・システム(ECO)などのキーワードが飛び交う。


シリコンバレーの投資家たち。


41人のジャッジの手をへて、2段階の書類選考のあと最終候補に選ばれた医療、半導体、そしてライフスタイルの11社が、壇上に上がる。






ベンチャー・キャピタリスト達の前で事業計画の発表。



アメリカン・アイドルの影響か、携帯でその場で投票するシステムを採用。
会場の投票の様子が刻々と表示される。


 最優秀賞はベンチャー・キャピタリストから「なぜ、痔に取り組んだのか?」と質問され、「実際に病院に来る人の疾患を分析して、ニーズが高いと考えた。」という無線技術を使い新しい内痔の治療装置を開発したヘム・レックス・メディカル社。



賞金10,000ドルを受賞したHemRxMedicalの代表者。
シリコンバレーのスタンフォード大学からのスピン・オフという。


 エレベーター・ピッチ賞を獲得したのは、“自分の家で過ごそう”(エイジング・インプレイス;Aging in Place)というアメリカの大きな流れに沿った“ライフ・アット・ホーム・ロンガー”社。両親の住む自宅を実際に訪問して、安全度、補修計画、最新技術や製品の適用可能性などを提案し、その計画を自分でするもよし、年間委託料を払いサービスを受けるのも可能というサービスを始めた。



サンフランシスコに本拠を置くライフ・アット・ホーム・ロンガー社のCEOの発表。



会合が終わり、ネットワーキングの時間。貴重な情報・名刺交換の時間でもある。





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