2010年1月16日 |
デジタルヘルス・サミットとシルバーズ・サミット
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米国アリゾナ州のラス・ベガス。1967年に始まり、全米家電協会(CEA)が主催し毎年1月に行われるこの業界最大の展示とカンファレンスの一大催し“消費者向け家電ショー(CES)”が今年も開催された。今年は2,500社が参加し、そのうち300社が新規企業、参加者12万人という。
人が多く集まった最先端の技術トレンドは、3次元テレビと映像技術、ネットに接続されるTV、eBOOK呼ばれる携帯電子書籍リーダー、環境関連技術であるという。中でも3次元TVは、日本・韓国などの大手企業が実演、多くの人を集めた。
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朝の会場からラス・ベガス市街のホテルを望む。
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そういった多くの人の関心をさそう話題の中で、新たな潮流をとらえて、『デジタル時代に生きる』というコーナーが造られた。その中身は、デジタル技術と健康の”デジタルヘルス・サミット”、エルダー生活を支えるハイテク “シルバーズ・サミット”、“子供たちとデジタル時代”、“お金に関わるハイテク技術”、そして“ハイテクを利用した高等教育”。大きなバンナー(旗)のもと、人生に関連する企業の展示が集まった。
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“生活の点を繋ぐ”という副題とともに大きく掲げられた“デジタルの時代を生きる”。
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第1回目のシルバーズ・サミットは、昨年このCESで開催された(昨年の様子は、こちらで読むことができます)。2年目の今年は、「世界中で8億6千万もの人々が慢性病を抱えている。4400万以上のアメリカ人が、成人した家族や18歳以上の友人をケアしている。家庭で誰でも使え、常時接続の回線でつながったテレヘルス(遠隔医療)が、健康管理、介護の見守り、QOLを改善する方法を根本的に変える時代がやってきた。」とヘルス関連のテーマを年齢を超えたテーマとして独立させ、デジタルヘルス・サミットとシルバーズ・サミットと二つのテーマとして採り上げていくこととなった。
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カンファレンスプログラム。
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土曜日の朝8時にもかかわらず、250席を用意したデジタルヘルス・サミットの会場に人々が集まり始める。夕方5時半までブレイクなしで続けるから、講演者との名刺交換は講演のあと廊下で、トイレに行く人は勝手に、戻ってきて席がなかったらあきらめてね、と始まった。
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司会のスマートシルバーズ・アライアンス、
代表取締役スーザン・エイヤーズ・ウォーカー氏。
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デジタルヘルス・サミットの基調講演「デジタルヘルスの新時代」で、米国大手コンサルティング会社の医療担当部長は、規制改革が求められている医療保険制度、介護などでの大きな変革、そして新しいサイエンスが医療にもたらすインパクトが大きな三つの流れだという。なかでもヘルス2.0と呼んでいるIT技術の利用は、医療・健康・介護などの関連者にとって広範囲な課題を実現する手助けとなる、と期待されるという。
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ポール・セヴァーハ氏
(プライスウォーターハウス・クーパーズ、
コンティニュア・ヘルスケア・アライアンス)

ヘルスケアの80%はすでに病院などの専門施設の外でなされている。
とくにコストを削減するために、さらに生活の質を上げるために家庭で行われる方向にある。
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パネル討論1:患者中心の医療へ:チャンスに投資する
- 司会:ジョナサン・リンコース(アメリカン・テレメディシン・アソシエーション、取締役)
- パネリスト:ザカリー・ビューノック(フロスト・アンド・サリバン社、市場アナリスト、)
ダッグ・マクルーレ(センター・フォー・コネクテッド・ヘルス、経営者)
ハリー・ワン(パークス・アソシエイツ、取締役)
- アメリカ国内の慢性疾患管理の費用は、現在の年間4,000億ドルから、2020年までには6,850億ドルに増加すると見込まれる。患者は、いつでもどこでも、医療情報とつながるようになる。最も熱い市場分野は?注目すべきデバイスやテクノロジーは?ビジネスで優位に立つにはどうしたらよいか?そして、儲かるのは誰か?といくつかの事例が紹介される。
- 東海岸のボストン地区で300人近い高血圧患者を対象に半年間実験を進めているスマートビート(賢い脈拍)システムでは、血圧管理をオンラインで自動的にコーチするサービスの効果を報告。まさに“患者が消費者に変わる”事例だという。
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健康状態の測定と追跡、健康維持、健康について学ぶことの
個人の健康促進にはネットを利用したあらたなサービスが多く出現している。
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パネル討論2:“e ヘルス”の未来がここに
- 司会:チャック・パーカー(コンティニュア・ヘルスケア・アライアンス、取締役)
- パネリスト:ディーパック・ヤガリー博士(シャープ米国研究所)
クリント・マクレラン(クアルコム、市場開発部長)
ヒュン・キム博士(アセンション・ヘルス、副社長)
ホースト・マークル(ロッシュ糖尿病ケア、部長)
- 医療費を増大させているのは何か?世界中では10億人が肥満で、8億6000万人が慢性疾患を持っている。そしてその数は2020年までに倍になると予想される。コンティニュア・ヘルスケア・アライアンスのメンバーが、これらの問題に立ち向かう個人向け健康器具を紹介する。
- 保険で費用をまかなえる範囲はどうあるべきだろうか、もっと個人で健康器具などには金をはらう必要があるのではないか、医療用家電をサプリメントのように使えるだろうか、ハイテク技術の問題というより医療制度の問題だ、などと多様な意見が飛び交う。
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ハイテク技術をどう応用するのか、質疑応答が続く。
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パネル討論3:自由に動ける患者
- 司会:ブライアン・デュラン(モバイルヘルスニュース、編集者)
- パネリスト:ケント・ディックス(メッドアプス、創設者CEO)
マイケル・フォーリー(ブルートゥース・スペシャル・インテレスト・グループ、取締役)
デビッド・インズ(ジッターバグ、CEO)
ドン・ジョーンズ(クアルコム、副社長)
- 患者は常時接続のケアをどこでも求めている。モバイル健康技術は、家庭での医療の形を変えている。携帯電話は、健康やフィットネスのアプリケーションにとって重要なプラットフォームである。ワイアレス機器、ウェアブルやセンサーは患者と医療関係者をつなぎ、データを即時に送る。最新のアプリケーションを探った。
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薬をいつ飲んだか、なくなるとオンラインで注文までする薬瓶のアイデア。
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パネル討論4:健康データで、誰を信じるか
- 司会:ジョン・ムーア(チルマーク・リサーチ、創設者CEO)
- パネリスト:デビッド・セレーノ(マイクロソフト、部長)
ブライアン・デメイ(ワルグリーンズ、副社長)
コリン・エバンズ(ドッシア・コンソーシアム、社長CEO)
アンナ・リサ・シルベスタ(カイザー・パーマネント、副社長)
- 患者は個人情報が守られていることがわかれば、電子個人カルテを求めるようになり、オンライン健康サービスはうまく行くだろう。誰がその技術を作るのか?インターネット健康情報製品が普及するために、どのように障壁を取り除いたらよいか?と議論が。現実には、家族の健康データと一言で言っても離婚したどうなるのか、アメリカの法律HIPPAとの整合、プライバシーと情報システムとのかね合い、と多くの課題も指摘された。
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信頼性は、どのようにどのデータを共有するのがよいのか、意見が飛び交う。
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午後1時には、演壇のパネルが「シルバーズ・サミット」に取り替えられた。ブーマーたちは、年の取り方のルールを変えようとしている。ランニングマシンで走りながら、孫とメールしたり、両親を介護したり、この世代はデジタル生活を最大に利用している。元気なブーマーや年老いた両親に使えるテクノロジーや製品、ライフスタイルについて、企業や専門家の意見を聞く。
基調講演:「生活を変えるテクノロジー」は、カーネギーメロン大学、QOLテクノロジーセンターのジム・オズボーン氏。日常生活で介護を必要とする人がどこにいて何をしているかを離れていてもみることができ支援するようなモニタリング技術研究の動向、さらに日常生活を支援するような認知力を向上する研究、感覚・知覚の研究や実用化を目指す技術など最新情報が紹介される。
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シニアがあなたの近くに近づいている、“シルバーウェア”の研究が進んでいると最新報告。
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パネル討論1:メディアを通してシルバーに訴える
- 司会:メアリー:ファーロング(MFA、社長)
- パネリスト:ジル・ギルバート(ケアリング・ドット・コム、副社長)
マーク・ゴードン(ファーストストリート、社長)
スティーヴン・ライリー(バイブラント・ネーション、CEO)
ジェリー・シュレシュースキー(グランドペアレンツ・ドット・コム、CEO)
- 1966年には、ラジオ・テレビ・8トラックのテープレコダー・新聞・雑誌がメディアであった。今日は、多様な電子機器、インターネットを使ったサービスなど30以上ものメディアがある。ブーマーの心に届く一番よい方法は、「ソーシャルマーケティング」である。製品やサービスを、ブーマーの最大関心事に結び付けるのだ。ブーマーの関心事は、加齢、子供たちが巣立って寂しくなった家庭“空の巣”、50歳以降の出会い、旅行、退職金の運用、孫、親の介護。ブーマーに届く効果的な方法が紹介される。
- アメリカでも55歳以上の人たちが多くの資産を所有し、有望な市場であるという。中でも50歳以上のバイブラントウーマン(活発な女性たち)と呼ばれるスマートで成功した女性たちがこの人口層での活力源であり大きな消費者層となっている。
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ブーマーやそれ以上の年齢層で80%は本人がオンラインで物を購入し、
102歳の顧客もいるという。
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パネル討論2:デジタル家電は腹立たしい!よいデザインは儲かる
- 司会:ゲリー・ケイ(フォックス・ビジネス・ネットワーク、ジャーナリスト)
- パネリスト:ジェフ・ヒル(MYGAIT、CEO)
デビッド・インズ(ジッターバグ、CEO)
ジェイク・シーガル(マイン・エレクトロニクス、社長)
- 司会のジャーナリストは、TVで新製品を紹介するなどデジタル家電業界のプロを自認。その彼が最新のグーグル携帯電話を試したところアップルが提供しているiPhoneにはあった拡大鏡の機能がついていないことが分かった。なんたることかと始まった。家庭用電化製品には腹立たしいものが多い。なぜなら、製品は使いにくく、取り付けは難しく、マニュアルは役に立たないからだ。誰もが使いやすい製品作りについて意見が飛び交う。
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いくつもの製品をあげて説明する司会者。
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パネル討論3:ホーム・モニタリング:両親の安全を見守る
- 司会:サンドラ・エリオット(メリディアン・ヘルス、部長)
- パネリスト:ジョージ・エルウェル(サイレント・コール・コミュニケーションズ、社長)
チャールズ・ヒルマン(グランドケア・システムズ、CEO)
Vijay Nadkarni(ウェルコール、創設者CEO)
- 家族のサポートや介護が必要になり始めた、祖父母や両親がいるか、自立した生活を支援するために、どんな家庭向けテクノロジーがあるか、また、どんな人が介護市場をリードしているのか、との問いかけに、遠隔から離れて暮らす人達をモニターをするサービスを提供する3社が登壇する。
- 動向は、家(ホーム)をモニタリングするのではなく人の動きをモニタリングすることだが、一方見る人の義務、人に見られることからくる反発や課題もあるとの指摘がでる。
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介護施設を運営する司会者と各種モニターサービスを提供するパネリスト。
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パネル討論4:若さを保つ:50歳以上の生活を助けるテクノロジー
- 司会:バド・マイヤーズ(ファーストストリート、専務)
- パネリスト:ミシェル・アールマン(クリアサウンド・コミュニケーションズ、社長)
ジェローム・アルノー(ドログループ、CEO)
ブルース・クライヤー(ハートマス、CEO)
ジョージ・デニス(ティービーイヤーズ、社長)
- 若い頃に好きだったロックコンサート、バイク、ヘッドフォンは、聴覚に大きな影響を与えている。携帯で(最近流行の短い文章の電子メールである)ツイッターを読むには、遠近両用眼鏡が必要だ。ストレスでさらにイライラする。「50歳以上」を対象にしたハイテク製品市場が無視できない理由を探る。
- 欧州で伝統的電話機器会社も、60歳以上をひとまとめにした市場とみるのは間違いだという。購入層を分析し、それに対応した多様な製品を作ることで、新たな顧客が見つかり市場を造ることができた、“ケア市場が事業のコア”になったという。
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欧州で“電話でケアをする製品”のリーダーDoro社の製品の数々。
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パネル討論5:QOLのケーススタディ
- 司会:スーザン・エイヤーズ・ウォーカー(スマートシルバーズ・アライアンス、代表取締役)
- パネリスト:ダン・マイケル(ダキム・インク、CEO)
リチャード・テート(ホープラボ、部長)
- このCESで“2010年イノベーション大賞”を受賞したというブレイン・フィットネス(脳トレ)会社が、脳トレが、物忘れを失くすことや、さらにアルツハイマー病や認知症にどのように効くか、健康、寿命、生活の喜びをどのように改善するかの事例を利用者の声とともに紹介する。
- ホープラボ(希望研究所)は、シリコンバレーの非営利団体。癌、肥満、赤血球病、自閉症を持った若年層の科学的研究を通して、若年層とともに生活改善(QOL)を図ることがテーマだという。癌を患っている若年層向けのパソコンゲームを開発。一人の青年は、これでやっと自分の運命を見つめることができるようになったという。魅力的な製品ができたか知るために、売上をグラフにしたり、綿密な調査をするかもしれない。しかし、魅力的な製品を作るには、魅力的な製品を本当に理解している人たちに聞くことが大切だ。本当に役に立ち生活を改善する健康製品は、顧客と一緒になって生み出されるとホープラボのリチャード・テート氏が力説した。
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ホープラボが開発した gDitty というゲーム。
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9時間半におよぶカンファレンスは、予定通り午後5時半に終わる。同じCESの会場でワイングラス片手の交流の場がもたれ、一日が終わった。
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 展示会場に場所移し、ネットワーキングという人脈作り。

会場と夜のラスベガスの街を望む。
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発表者が紹介したプレゼンテーションのスライドは、それぞれ以下のサイトからダウンロードできます。
http://ces2010.digitalhealthsummit.com/
http://ces2010.silverssummit.com/index.php
(これらのサイトを訪問し、Conference、さらにDocumentsと進んで下さい。個人で使用することを条件にそれぞれのPDF形式のファイルをダウンロードすることができます。)
さらに詳しくお知りになりたい方は、info@happy-elder.comまでメールでお問い合わせ下さい。
1) ブーマー世代:日本では1947年―49年生まれの約7百万人を「団塊の世代」というが、アメリカでのブーマー世代は1946年から1964年までに生まれた世代で、その人口約78百万人、アメリカ総人口の27%を占める世代を言う。 |
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