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1999年日本でのジェロントロジーシンポジュームに参加した、ロバート・アッチリー博士は、日本の大学や専門職養成課程には、ジェロントロジー教育が必要であると提言し、さらに「日本は諸外国の多くからは、長寿に対する敬意が存在する国と思われているのに、・・・・・・、年をとること自体が忌み嫌われる風潮も散見されます。」と指摘している。増加する高齢者に対して、大局的な視座から、何をどうすれば良いか、そのサービス、モノづくり、公共政策を考え、展開することの重要性を説いている。
2006年4月、日本生命保険相互会社、セコム株式会社、大和ハウス工業株式会社の支援を受け東京大学総長直轄のプロジェクトとして、高齢社会の諸問題を解決し、豊かな長寿を全うできる社会の実現を目指す「ジェロントロジー寄付研究部門」が設置された。この研究部門は、国内外に散在するエイジング(加齢)や高齢化に関する知見や事例を「ジェロントロジー」という知識体系に集約し構造化すること、それにより産み出される新しい価値を社会に還元することを目的としているという。
2007年1月から、この研究部門が主催する公開講座が始まり、若手研究者のみならず、誰でも参加できるこのセミナーから、日本での研究の一端を見ることができる。
最初の講義、「全国高齢者パネル調査―加齢に伴う生活変化の俯瞰的理解」は、パネル調査と分析から、個人の要因と環境からくる要因の相互作用として加齢の過程を解明し、高齢化社会を俯瞰的に理解しようという研究である。
1987年から3年毎、15年間継続的に行われているこのパネル調査では、同じ調査対象者について、同じ内容で調査が行われ、その時間の経過とともにどのように結果が変化したかをみることができる。
この調査から浮かび上がった一つの例として、15年後の健康度と強く関連する要因は、男性は自治会、趣味・スポーツ・学習グループ、あるいはボランティアなどの「団体・グループへの参加」であるのに対し、女性は“自分で判断し、行動できる”「精神的な自立」であると言う。
一方、“地方の時代”の地域社会である自治体を介して、「高齢者の生活実態に関する自治体調査」を行い、そこから高齢者福祉のあり方を考察しようという研究では、東京都品川区3,062人、東京都の西部にある稲城市472人、千葉県鎌ヶ谷市911人を調査している。 生まれた場所、少年時代からの家族構成、住宅環境などの個人属性の調査の難しさから更なる調査を模索しているが、高齢女性ほど配偶者と一緒の割合が低下し、「生活が孤立」しているのが見られるという。
2005年8月から滋賀県草津市など3市で開始した「地域看護24時間ケアシステム」のモデル事業は、地域社会のコミュニティーを“人”と考え、ココミュニティーがパートナーとなるという(Commuinty
as Partner)理論を元に行われている。
「夜間・早朝の訪問看護必要者の発見と提供方法の標準化と効率的実施方法の開発研究」では、24時間・365日いつでも看護師が患者の自宅を訪問して、在宅でのケアサービスを行うことを目指し、滋賀県に訪問看護ステーションを作り、その効果や効率化の方法を研究している。実際、夜間・早朝に医療・看護処置が必要な患者、病状が不安定や末期の患者に対しては、患者のみならずそのサポートする家族も含めて、サービスの効果はあるが、経済性から規模の検討や、医療保険制度の改善課題も指摘されている。
この研究では、いつも身につけることが出来る緊急連絡装置などのツール開発、地域社会での医療品の物流システム、さらには事業としての経済性分析や事業課題研究など、産学連携の可能性を探りたいと言う。
「少子高齢化で経済はどうなる?」との問いで始まる「健康寿命80歳社会の経済学」講義では、少子化が持続的に続き、2025年以降も社会保障財政は深刻化が続くと指摘し、健康寿命80歳を前提とする医療・介護保険のあり方を論じている。
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